/ 予告編

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 第12話 『親子熊 プロローグ』


 今を遡る事30年と少し前のことでございます。当時は私くまのすけも高校生。大して強くはございませんでしたが、高校選手権代表を目指しておりまして、日々こっそりと勉強するふりして将棋世界や近代将棋を読んだり。休みの日には図書館へ行く、と称して将棋道場へ行ったり、自転車で片道1時間半ほど掛けて将棋大会へ出てみたり。また学校では授業中にも関らず隣の席の奴と紙に書いた将棋盤で1手ごとに書いたり消したりで将棋を指してみたり、将棋仲間を見つけて同好会を作ったりする、極々普通の将棋少年ではございました。
 残念ながら高校選手権の県予選では、1年時:県予選なし、出場できず。2年時:個人戦で参加し予選リーグ通過するも本選トーナメント1回戦で負け。3年時:一人で全国へ行くより3人で行こう、と団体戦に参加するもライバル校に無念の1−2負け。当時は高校選手権が高校生唯一の大会であったため、その時の悔しさはその後もなにやら残っていたようで、全国大会行きたかったなぁ、と時折思ったりしていたのではございます。
 さてそれから30年と少したち、遂に再び高校生の全国大会を目指して戦う機会が訪れました。といっても私が高校に再入学した訳ではありませんし、学校の先生になった訳でもありません。娘のカオリが高校に無事入学したのでございます。学校にはちゃんと将棋部もあります(注1)。
 さーこれで積年の想いを、カオリの力を借りて全国大会に…と、勝手に盛り上がっていたくまのすけです。題して親子鷹ならぬ親子熊でございますな。
 さて本題に入る前にさらっと高校将棋に関してのおさらいでございます。高校将棋の取り敢えず女子に限ってのお話ですが、全国大会並びに全国大会級として3つの大会がございます。まずは7月末〜8月あたりに全国大会が開催される高校選手権。次に1月下旬〜2月頃開催の全国新人戦。新人戦は1,2年生のみの参加です。この辺は男子も同じでございます。次に女子だけですが、3月下旬に全国女子選抜大会(通称藤枝選抜)がございます。で、更に上げれば高校竜王戦。こちらは高校選手権の女子の個人戦ベスト4になれば出場権Get。男子と同じ土俵の県予選を勝ち抜いてもOKでございます。 昔は(昔ってーと30数年前のことですね)高校選手権だけでして、昭和薬科大学が主催で白樺湖での開催でございましたが、今は色々あって羨ましい限りでございます。
現在の主催者ですが、高校選手権と新人戦が高校文化連盟。通称高文連でございます。私の知る限りですが高文連の主催の大会は実にしっかりと運営されております。更に対局者の妨げになるような私語があれば、自校の生徒でなくとも注意するなど、流石教育者と思うことしばしばでございます。ルールブックもしっかり作ってあり、また事前に組み合わせは主催者が抽選済み(これは責任抽選と表現されます)ということで受付後にドタバタすることはございません。素晴らしい限りでございます。まぁ敢えて言えば、ルールブックにあります相入玉の宣言法でございましょうか。男子はともかく女子で理解できているのは全国大会でも数名ってところでございましょうか。恐らく指導の将棋の先生方で使いこなせる人も数少ないのではないかと思うのでございますが。(現在まだ宣言法を使用しているかは不明。少なくとも昨年度はこのルール使ってました)もう一つは県予選に出るために高校に将棋部があって更にその将棋部が高文連に属していること、という制約がございます。県によっては例外もあるとは思いますが、ようするに、将棋部のある高校でなければ、高文連に属していなければ全国大会には出られないということでございましょうか。ということで高文連に属している将棋部にのみ県予選の連絡が来るということで一般には情報がなく、くまのすけがおります茨城県でも、高校の先生をしておりまして茨城県連と高校棋界をつなぐ役をしておりました方が体調を悪くされてからは、茨城新聞に棋譜が載らなくなっていたようではございます。現在は某高校のFさんという先生が茨城県連HPの管理人Yさんと連絡を取って頂いているようで結構情報が流れるようになりつつあるようでございます。誠にご苦労な限りではございます。また茨城においては将棋部のない学校で参加希望者に対する受け入れ処置も昨年は実施していたようでございます。(つまり高文連に会費納めて、校長に許可を取る、という手続き)
その他、大会の模様などは本編をにて紹介していきたいと思うのではございます。
注1.学校に将棋部がある→高校文化連盟に加入→大会に出られる、ということらしい。大昔は昭和薬科大学(だったか?)の主催だったと記憶しているが、いつの間にやら高校文化連盟の主催になっていたようだ。
(高校文化連盟のHP http://www.kobunren.or.jp/)

<プロローグ了。第1章へ続く>