/ 予告編

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 第3話 『くまのすけ西へ行く』

 1.ワープ
 さて町屋の寄席の会場で急に意識が無くなりまして......。意識が戻ったとき、くまのすけは、何故か薄暗く人影も少ないJR米子駅の前に立っていたのではございます(笑)。
 世の中には不思議なことが多いのでございます。確か昼間、ケーコさんも幽霊の紙芝居でそう申しておりました。慌てても仕方がないのでございます。偶然にも、まったく偶然にも、明日はアマ王将戦の山陰予選がこの米子で開催されます。
 ということで今日はホテルを見つけて宿泊、明日はアマ王将戦出場とすることに決めたのではありました。
 
 2.史上最強のビジネスホテル
 取り敢えず寝る所を確保しなければなりません。駅前から通りを見渡すと、ビジネスホテルは多そうです。と言ってもどこでも良いというわけにはまいりません。常に最善酒...じゃなくって、最善手を求めるのが将棋指しでございます。
 まず駅前にWホテル(チェーン店。確か6000円台だったか?)を発見。無難ではありますが、つまらなくもあります。
 次に4000円のホテルを発見。かなり心が揺れましたが、妥協はいけません。ちなみに理想は温泉付きビジネスホテルでございます^^。皆生温泉が近いので、という読みでございます。
 更にわき道へ入りますと、3000円!のホテルを発見。但し、外見からしてN山元朝日アマ名人御用達の蒲田のSホテルと同格の、かなりの歴史を感じさせるホテルではございました。
 ふと、上を見上げますと大きなホテルの上に看板が。そこには信じられない語句が並んでおりました。
「朝食無料、夕食無料、温泉&サウナ付き、2580円より **ホテル」
 どっしぇーーーーーー!これぞ、理想中の理想。まさしく史上最強のビジネスホテルと言っても過言ではありますまい。
(どんなホテルやねーん)と不安と期待を抱きつつ行ってみました。入り口〜ロビー、煌びやかです。とてもビジネスホテルとは思えません。本当に2580円の部屋が存在するのでしょうか?疑問を抱きつつもチェックイン。残念ながら2580円の部屋は空いてませんでしたが、(税込み、サービス料込み、トイレ風呂は隣の部屋と共同使用)3680円の部屋を確保したのではありました。
 まずは部屋へ行く前にレストランで夕食(最終オーダの21:30ギリギリだったので)。メニューはトンカツ定食(どーもこれしかないみたい)でした。肉団子も付いて量は結構ありましたな。味?いけませんねー。味なんか期待しちゃー。罰が当たるってもんです(笑)。
 部屋もまぁまぁでございました(隣との壁は薄そうでしたが)。温泉はGood。最上階(15F)に大浴場があり見晴らしも抜群でございました。運よく隣の部屋の方が静かな方で、夜は良く眠れました。
 翌日の朝食は洋食バイキングでございました。パンは1種類しかありませんでしたが、スクランブルエッグあり、パスタあり、サラダあり、果物あり、ジュースあり、コーヒーあり、その他のおかずも数種類あり、とビジネスホテルの朝食にしては、例えばT横インを遥かにしのぐグレードではございました。

 3.アマ王将戦山陰予選in米子
 さて、どーでも良い前ふりが終わりまして本題でございます。ホテルをチェックアウトし、会場であります米子産業体育館へ向い到着。
 なるべく目立たないように、と思っていたのですが、受付で早速チェックに引っかかりました。
「えっ!くまのすけさん!?あのくまのすけさんですか?」
「え〜と、多分そのくまのすけです(笑)」
「この大会のためにここまで?」
「えぇ、まぁ...」
 と、特にお咎めもなくお許し頂きました。アマ王将戦は全国どこでも何回でも会費さえ払えば参加OKではありますが、とはいえ地元の方々に歓迎されるかどうかはまた別の話でございます。しかしながら、ここ米子の運営の方々は、偉大なるH先生の2度の遠征を経験なさったこともあるためか(?)、遠征メンバに実に寛大ではございました。
 会場を見渡しますと、いましたいました。昨年H先生とアマ王将戦レースを戦ったY元アマ竜王が。取り敢えず挨拶をして、「H先生まだですかねぇ」「みたいですねぇ」と、来るのを決め付けております。更に「M和君は来ますかねぇ」「大阪行ったかもね」と雑談するのではありました。
 地元の強豪の方々にも挨拶しなければなりません。Y浦さん、K村さん、F原さん(*1)を見つけ挨拶。F井さんとM田さんの姿を見つけることができませんでしたが、なんでも仕事で欠場とのことでございました。ラッ...あ、いやいや大変残念ではありました^^;。(F井さんは予選2局目からの出場に間に合わせる予定でしたが、結局仕事から抜けられなかったとのことでございます。F井さんも、M田さんも久しぶりにお話できるかと思っておりましたので残念至極でございました)また旧知のY田さんや、H野さんんからはわざわざ声を掛けて頂きました。ありがとうございました、でございます。
 また他に残念だったのは師範代日記で有名な(http://diarynote.jp/d/18572/)湖山将棋センター席主とお会いできなかったのは少しく残念ではございました。
 そうこうする内に、時間ギリギリに満を持してH先生登場。運営者との方々とも笑顔で談笑なさっております。余裕でございます。地元に馴染んでおられます。
 (*1)F原さん:関81番勝負にも登場した、岡山の強豪。(えっ関さん知らないって?関さんは今で言いますと...H咲氏とS川氏を足したぐらいのスーパーウルトラ超強豪でございました....おっと誉めすぎか?)

 4.対局開始
 開会式でのM日新聞社の方の挨拶も終わり、ルール説明も終わりまして、いよいよ対局開始です。
 尚、大会の運営はここ鳥取県西部支部の方々が担当しておりましたが、終日手際よくテキパキと大会が進られておりまして、私も大層感心させられたのではございます。
 で、持ち時間は30分切れ負け。予選は1勝通過、2敗失格。通過後は抽選しトーナメントということになります。
 予選1局目、内容はかなりやばめでしたが、何とか逆転。予選通過です。続く本戦1回戦もかなりの将棋でしたが、なんとか辛勝。ここで12時になり、次の対局にはまだ時間が掛かりそう(相手がまだ対局中)なので昼食を取りましたが、昼食は何と握り寿司でございました。海の近い米子でのお寿司は大変美味でございました。2000円の会費で寿司を出して、会場借りて、20世紀梨を山ほど賞品に出して採算取れるのでしょうか?西支部の方々のご苦労が大いに感じられるのでございました。

 5.スーパスターK村氏
 まだ時間がありましたので、会場をウロウロしておりましたら、K村氏が子供と指しておりました。局面を見ると、K村氏大苦戦。(おやー)と良〜く見ると角落ちでございました^^。単なる指導対局でございましたか。しかしながら、K村氏、トーナメント表に名前がないのでございます。よーく聞いてみたところ、出場していないとのことでございました。
 K村氏、自宅からここまで7時間とのことでございます。なんでも、山陽大会の日程をK村氏の都合に合わせてもらったため、他地区の予選には義理立てして出ない、とのことでございました。う〜む。偉いです。それもさることながら、参加しない大会に7時間掛けて顔を出すとは。大会を盛り上げようという、スーパスターK村氏ならではの流石の行動なのではございましょうか。くまのすけ感服仕る次第なのでございます。

 6.大豪Y浦氏健在
 強豪の方々は予選順調に抜けていきます。中でもY浦氏は「予選1回戦は1分半も使っちゃった」とおっしゃり、本戦1回戦も対局前に「(持ち時間消費)5分以内で終わせるゾ」と宣言しておりました。結局7分ほど掛かりましたが快勝。相変わらずお強いのでございます。もっとも対戦相手は「5分使わせたから、私の切れ勝ち!」と笑って叫んでおりましたが(笑)。

 7.くまのすけ再び鳥取に死す
 さて自分の将棋ですが、2回戦は激戦となり最後は叩きあい、0秒対3秒で超辛勝。3回戦は、出だし鳥刺しから初めて経験する仕掛けを喰らい、超必敗形に。そこから時間を使って終盤形勢をひっくり返しましたが、時間切迫から食いつかれ再逆転。結局そのまま押し切られました。う〜ん。H先生やY君と当たるところまでは行きたかったんですけどねぇ。
 それにしても山陰の方は鳥刺しばっかりなんですねぇ....と後でH先生に言ったら、「Y浦さんの影響で山陰の方は鳥刺しと右玉ばっかりなのでは?」と返されました。
 はい。そういえばそうでした。すっかり忘れてました。会場でも、B級やC級でも鳥刺し多かったですな。偉大なり、Y浦氏。でございます。
 思い起こせば約20年前、くまのすけ若かりし頃、雑誌の企画で鳥取に将棋指しに来ましたが、M田さんに負け、Y浦さんにも負け、ついには鳥取砂丘から砂丘の湖へ飛び込んで死亡、という苦〜い思い出もよみがえったのではございます。(将棋ジャーナル1984年8月号参照のこと。砂丘から飛び込むくまのすけの写真あり)

 8.決勝戦
 さて、大会は進みます。準決勝でY浦氏とY元竜王が激突。力のこもった熱戦でしたが、結果的にY浦氏快勝、決勝進出。ややあってH先生も準決勝を制し、決勝はY浦氏−H先生となりました。
 そして決勝戦開始。この会場に残っておられるほとんどの方はもしかしたら(Y浦さんガンバレ!)と祈っていたのかもしれません。私もI先生つながりもあってY浦さんを応援する気持ちがないではなかったのですが、同じ関東勢、同じ遠征組、(H先生去年決勝で負けてるし、今年はガンバレや)と心の中でH先生に大きな声援を送っていたのではありました。
 戦形はY浦さんのひねり飛車。顔つき、態度から、両者自信のある局面だったと思われます。しかしながらH先生、中盤で仕掛けを1手見送ったのがどうやらまずかったようで、先に仕掛けられ、そこから少し差がついてしまったようです。以下、終盤に結構怪しくなったのですが、途中の貯金が大きかったようで、Y浦氏が最後きれいに詰まして勝利。山陰代表を獲得いたしましたのではございます。
 Y浦さんおめでとうございます。全国大会も頑張ってくださいませ。H先生2年連続準優勝残念でした。Y君も残念でした。くまのすけさん、もっと残念でした。
 尚、大会の模様はH先生も将棋パイナップルに書き込んでおられます。そちらも合わせてご覧になって頂きたいとは思うのでございます。
 
 9.表彰式
 で、表彰式ですが、Y浦さんの表彰が終わって....H先生、いません(笑)。
 更に驚いたことには、運営の方が「えーと、Hさんは....と......。多分どこかですねてるんでしょう(笑)。Hさんの表彰は省略します(爆)」
 流石H先生、いつの間にやら運営の方々とツーカーになっている模様でございます。
 さて、賞品の梨でございますが、2位や3位には大きいつづらで贈られており、当然抱えて持って帰れないので、宅急便でございます。私めの場合は文字通り残念賞ということで、梨3個。カバンに楽に入ってしまい、嬉しい限りでございます(シクシク)。

 10.打ち上げ
 打ち上げでございます。H野さんから、お誘いいただきまして参加することになりました(他にも、岡山軍団から温泉宿?宴会ツアーをお誘い頂きましたが、H野氏から先にお誘い頂きましたので、失礼させて頂きました。機会があればご一緒させて頂きたいと思います。またお誘いくださいませ)。
 打ち上げの場所は西支部道場でございます。Y君も参加させて頂くことになり、運営の方々共々道場へ移動。
 道場は大層風格のある佇まいでございました。将棋道場はやはりこうでなくてはいけません。
 また道場内には、なんと驚いたことにH先生用の個室が用意されてございました。毎年ここで宿泊し、打ち上げも参加しているとのことでございました。流石H先生でございます。地元の方との交流もしっかりとなさっておられます。アマ強豪の鏡でございます。私くまのすけ、感服仕り候でございます。また後日談でございますが、某プロとこの道場の話題になりましたところ「その道場に宿泊した人を何人も知ってる(笑)」とのことでございました。
 打ち上げでございますが、まず缶ビールや缶チューハイで乾杯。次になにやらつまみが出てまいりました。まずは貝の煮たやつ。”ニーナ貝”とかおっしゃっておりました。同席の支部の方が昨日獲って来たそうでございます。美味でございました。更に、キノコの煮たやつも。こちらは”何とか茸もどき”(←聞いたとおり書いたつもり^^)とおっしゃっておりましたか。こちらも大層美味でございます。鳥取西支部の皆様方、ご馳走様でした。お世話になりました。改めて厚く御礼申し上げ候でございます。
 更に、H先生がお江戸の土産を出してまいりました。”わさび漬け”と”なんとかごぼう”(←こっちは想像)。美味でございました。H先生ご馳走様でございます。
 HさんやYさんH野さん他、西支部の方とは色んな話で盛り上がりました。
 取り敢えずはEさんの話。週刊Pの企画でTプロが西支部に来たとき、Eさんが飛車落ちで勝利したのですが、しばらくして結婚。で、週刊PへEさんの記事を掲載する日を、Eさんの結婚式に合わせてもらい、結婚式の引き出物に週刊Pを使ったそうでございます。そこのところのコピー?いえいえ、そのまんまだそうです。現物を見せて頂きましたが、週刊Pの表紙にはSE●とか●房とかの文字が乱れ飛んでいたのでございます....。
 他にもアマ王将戦山陰大会を誘致した話など、興味深いお話や楽しい話も沢山聞かせて頂き、楽しかったのではございます。
 さて、楽しく宴は続き夜は更けていきました...と、またしても頭の中にメガネを掛けた悪魔が現れたのでございます。悪魔はお菓子町のおやじさんにとても良く似ておりました。「くまのすけヨー。何時までそこにいるつもりダー。むすめを一人で大会に来させるつもりカー?お前もくるのダー」
 次の瞬間、突然意識が遠のき......。

<第三話了、第四話(仮題)A立さん最強伝説、に続く>