リレーエッセイ 伊藤大悟 第29回
伊藤大悟






  美馬さんからバトンを受け取った伊藤大悟です。美馬さんから回ってくるとは・・・予想だにしませんでした。美馬さんといえば去年のレーティング選手権で対戦していて、その時の将棋はいきなり必敗形になりながらも将棋にない手を指しながらも怪しくなりついに逆転?!というところまでいきましたが最後にはやられるという誠に僕らしい負け方をしたことで記憶に残っています。それでは本題に入りたいと思いますが、本題っていったいなんなんだ?本の値段?本を置く台?と自分でボケたくなるくらい内容がありませんのでよく聞かれる「静岡にいてどうやって強くなったの?」という疑問に答えたいと思います。

(1) 小学生の時

 小学生の時僕は道場に通うようになって、その道場の師範である高橋さんという方に勧められて詰め将棋をやるようになりました。つまり、将棋を始めて間もないころは実戦と詰め将棋が主な勉強法でした。そして、将棋を始めて一年半くらい経ったころに大会にも出るようになりました。静岡は大会が非常に多く、ほぼ毎週のように大会があるので実戦を多く積むようになりました。そしてある大会に出たときに中尾先生(現四段)に紹介してもらい、広津教室に通うようになりました。広津教室とは、広津九段の自宅で開かれる教室で、広津九段や、先に述べた中尾先生、静岡の若手強豪が参加していました。広津教室では、駒落ちで教えてもらったり、平手で指したりしました。この広津教室で自分の将棋の礎ができたと思っています。そして、東急の小学生大会などに遠征するようになりました。静岡では小学生で将棋を指している人が少ないので、同年代と指す事はあまりありませんでした。早いうちからそうやって指してきたので静岡に住んでいても全国のレベルを肌で感じる事ができたと思います。

 小学生の間に、プロの感覚と大会で勝ちぬく感覚両方を見につけられたと思います。その代わり強豪との実戦に恵まれなかったので序盤は非常にアバウトです。

(2) 中学生の時

 中学生になるとアマ名人戦などの県代表になることができるようになり、強豪と全国大会で指せるという場に恵まれました。この県代表になりやすいということが静岡に住んでいて一番うれしく感じることです。層の薄い地区に住んでいると日頃強豪と指せないかわり、全国大会という最高の場で強豪と指す事ができます。つまり、田舎であっても県代表になるくらいの力をつければ、そこから先強くなるのは不可能ではないということです。

(3) 高校生になって

 高校生になっても基本的には中学生の頃と同じように全国大会で強豪と一局でも多く指す事を何よりも大事にしてきました。しかし、高校生になると多少忙しくなるのであまりローカルな大会に参加する余裕がありません。そのため、実戦不足に陥りがちで、僕の得意分野である(これしか僕の将棋は中身がありません)怪しい手を指し、わなをそこら中にばら撒いてどんなに悪い局面でも勝負形に持っていくという技を磨くという機会がなかなかありません。静岡ではしょっちゅう必敗形にはなりませんが。そこで、たまに行くローカル大会では自分の知らない戦型を指す事にしました。そうすると、知らない形の感覚を磨くこともでき、悪くなりやすいので逆転の練習にもなります。

(4) 補足

 書き忘れたことが多々ありますので補足をしたいと思います。日頃の勉強法はとにかくローカル大会に出ることが一番で、その次が棋譜並べだと思います。棋譜並べは先手から並べて、その後同じ棋譜を後手から並べるのが効果的だと個人的に思っています。詰め将棋は昔の方がやっていて今は余りやってません。実戦で読むほうが好きだからです。でも詰め将棋をやった方がいいと思うので暇を見つけてやるようにしています。
 田舎に住んでいるので移動時間が長いのも良い方に働いていると思います。移動時間はなんでもできるので本を読んだり詰め将棋を解いたりしています。不便なようでも案外時間を効率的に使っていると気付きました。また、移動に長時間使っているのだからそれに見合う結果・内容を伴わなければ、という心理的効果もあると思います。


 ということで静岡にいると、自身がつく、ローカル大会がたくさんある、代表になりやすい、等々たくさんのメリットがあります。結論としては場所に合った上達法があるので田舎でも強くなる事は十分可能であるということです。

 とまあ独断と偏見を長々くどくどと書いてきました。この考え方に納得できない人が多いと思うので田舎高校生が戯事を言っていると思ってください。

 次は大会でしょっちゅう名前を呼び間違えられてしまう端山徹也君です。僕とは180度違うクールな文章を期待しています。



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